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2009年03月09日(月) 
The Fly-Fisher's Entomology
フライフィッシャーの昆虫学

著者: Alfred Ronalds アルフレッド・ロナルズ
発行年: 1836(初版),1839,1856年
発行所:Longman, Orme, Brown, Green, and Longmans London 

(本の大きさが分かるように左下に50円玉を置いてスキャン)

鱒とグレーリング

{扉}
フライフィッシャーの昆虫学

自然の昆虫とそのイミテーションの彩色画

および

鱒とグレーリングの釣りに関する新しい観察と示唆

20枚の銅版画を含む

 むさぼり食らう短命のものたち(鱒たち)よ!虫たちが一日を楽しんでいるのに可愛そうに思わないのか?彼ら(鱒たち)は単に腹を満たしている過ぎないだろうが-ここにはおいしい物がたくさんあるし、その(フライの)テイルにはピリカラ味を隠しているよ。あなた(釣り人)が好きな3つの内から1つを選んで浮かせ、(鱒に)味見させてごらん!カービーのフックをくわえてごらん、そいつはニセモノなんだがね。           
         クリストファー・ノース

ロンドン:ロングマン、オーム、ブラウン、グリーン、アンド ロングマンズ、1839

{初版への著者の序言}
 この小さな本は著者の努力-それは楽しみでもあったのですが-の結果生まれたものであり、アマチュアの作品であります。著者の目的は、初心者が絵を見てわかりやすいように、釣り人がフライ製作やフライの選択に参考になるように、また個々の釣り人の疑問の解決に貢献できるように、ということである事を理解していただきたいのです。
 釣り人に自然の羽虫のイミテーションを作る際に助言をする時、言葉だけで行うことは不十分だと思います。おおよそのイミテーションでも、まして正確なイミテーションとなると言葉だけの説明ではとても難しいでしょう。そこで、カラー印刷が未だ実用化されていないので、著者自らが自然の羽虫とそのイミテーション・フライを描くことにしました。自分の手でエッチングをし、色を塗り、さらには製本工程で個々の図の色の監修を行いました。
 この本では釣りシーズンにおける各月ごとのもっとも有効と思われるフライパターンを載せています。また、フライ製作会社のストックから選ぶ人も、あるいは自分でフライを作る人にとっても、この本の第4章を構成しているフライのリストを参照して後悔する人はいないと信じています。また、フライ製作の技術を改良するために鱒やグレーリングの習性やこれらの魚が補食するさまざまな昆虫について、注意深く観察しました。これらの観察のいくつかや、ちょっとした有益な情報や、釣りに多少なりとも関係することがらについてのコメントは皆様の釣りに役立つと信じます。これらの事柄が第1章から第3章までを構成しています。
   1836年6月、チズウィックChiswickにて

{第5版への推薦文}
 ミッドランドでは、ことにダービシャー地方では、「フライフィッシャーズ・エントモロジー」は長く最高権威の本として認められてきました。ダービシャーの釣り場は最近フライフィッシャーに高く評価されてきていますので、最新の内容で、より完成度の高い本が必要になってきています。この地方では川の保全はされてはいるものの地主の寛容さによって川での釣りは一般に開放されています。そして釣り人は鉄道のおかげでダブDoveやワイWyeやダーウェントDerwentのカントリー・インで休日を楽しむことができます。スタフォードシャーにある魅力的な鱒の川であるブライス川Blytheはクレスウェル駅の近くであり、ロナルズの初期の頃の体験談に良く出てくる川です。現在の駅の近くの小さな橋のたもとには彼の観察小屋がありました。もちろん、ミッドランドの川が彼の観察の正しさのよりどころになっているのですが、後に彼はウェールズに住み、彼のフライフィッシングに関する知識を検討し、ブライス川以外の川でも彼の知識が有益であることを確認しています。そう言えば、コットンはダブ川の釣り小屋で、イギリス南部特有の太いボディのフライをバカにして笑うために窓に掛けていたこともあるのです。
 ひとつ確かなことがあります。繊細なカゲロウのダンやロナルズのパーマー・フライを巻く名人が居たとしても、その人はスコットランドやその他の地域で有効ではあるものの自然の虫を乱暴に模倣したフライを額に入れて飾ろうとはけっしてしないでしょう。自然の虫を「正確」に模倣する技術を学ぶことがまず大事です。そしてそのことに熟達したら、次のステップとしてイミテーションのやり方を変えていけばいいのです。それは、自然そのものに導かれる終わりのない作業かもしれませんが。
 技術の法則を超えた優雅さを獲得せよ!
しかし、この本をそばに置いて、あなたがさっき川のそばの藪から取ってきた羽虫のコピーを作ろうとするのはあなたが初心者としたらお薦めはできません。あなたがすべきことは、まず、晴れた暖かい日に、明るい窓のそばで、すべてのタイイング・ツールを使ってドロッパー・フライを作ることです。あなたが買える最上のハックルを使ってウィングド・フライを完璧に作れるように学んでください。ハックルはちょうどフック・ポイントとベンドを覆う長さにして、それ以上長くしてはいけません。ウィングはフライの長さ-ヘッドからテイルまで-と同じ長さにする必要があります。フェザーは多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけないのです。
 「フライフィッシャーの昆虫学」のこの版では、主要な変更部分は現在オーストラリアに住んでいる著者に送られ、全面的な認可を受けています。主たる変更は第四章の昆虫の名のところで行われていますし、これまでは記述されていなかったすべての昆虫の学名が記載されるようになりました。その結果、生物学者のコレクションにおいて、また彼らから提供されたものによって、フライのイミテーションのもとになった正しい昆虫を見ることができるようになったのです。フライのメーカーがフライと同じように実際の昆虫そのものを発売するという企画を実行してはどうか、と思います。1インチ(約2.5センチメートル)の厚さのガラス張りの小さな箱で、内側に16分の3インチ(約5ミリメートル)ほどの厚さのコルクを敷き詰め、昆虫をピン留めにしてあれば、それはとても役に立つイラストであり、この本の伴侶としてふさわしいのではないでしょうか。おもしろい対比ができます。それは、昆虫学者のコレクションとしては稀な昆虫ほど価値が高いものでしょう。一方、フライフィッシャーにとってはよく見られる昆虫、広く分布する昆虫、どの川や湖にでも見られる昆虫が好まれ、重要性が高いのです。なぜなら、魚は(条件が同じならば)そのような昆虫であるグリーン・ドレイク(訳者注:モンカゲロウ)やカディスをいつも補食しているのですから。
 また、イミテーションを作る際に使用するべきフックのナンバーが付け加えられています。そして、新たに注として記述されているバリエーションも一読をお薦めします。
 この本の第四章は「序文」が追加されて長くなっています。図版にも修正が加えられ、著者の意図が十分に伝わっていない可能性がある部分には十分な説明が行われました。その他にもいくつかの変更が加えられていますが、ダブル・パーマーというフライに注目してほしいのです。なぜなら、このフライは本の中で重要な位置を占めており、特別なパターンなのです。ダブ川の釣り人の中にはこの本に出ている45番と46番のパーマーだけしか使わない人がいます。これは極端な例であり、彼らは偏見の徒で、単なる怠惰なのかもしれませんが、スポーツマンの技術と生産性とは対極に位置すると思われます。そんな人は自分でフライを作ることはめったにないし、もしフライをたまに作ったにしてもフライフィッシングの楽しみの半分も楽しんでいないでしょう。
 この本は若い釣り人を勇気づけ、その観察力と創意工夫の助けとなることを願って書かれたものです。だから「どうやってフライを作るか?」という項目では、初心者にとって意気消沈させるような難しい技術、たとえば「見えない結びinvisible knot」(訳者注:ホイップフィニッシュのこと)を含む優れた技術がわかりやすく解説されています。ちゃんとした結びを使えば、作られたばかりのフライは決してバラバラになることはありません。フライを使用していてヘッドの後ろのガットが擦り切れることがありますが、そうなればフライはほどけて壊れてしまうのは仕方がないことです。このことは大型のフライに対してはガット・ループをはじめから取り付けておけば避けられるというアドバイスも書いてあります。こうすればガットが切れてフライが無くなってしまうという恐れも少なくなり、初心者はもっと楽しんで釣りができることになるでしょう。
 近年、学者の研究によって鱒の人工繁殖の技術が進歩していますので、フライフィッシャーの先行きには光明が見えているように思います。産卵や稚魚の保護を行えば私たちの魚を増やすことは簡単にできるはずなのです。その結果、多くの鱒の居ない川が鱒でいっぱいになり、好ましい管理のもとで新たな会員制の釣り場が作られていってほしいものです。良い川の持ち主がこれまで抱えていた”魚が少なくなるかもしれない”という不安は解消され、フライフィッシングの優雅な技術が新たな信奉者を産み出すようになってほしいものです。ひとたび、”その味(フライフィッシングの面白さ)”を知った人は他のスポーツをやる人にもその気持ちや愛着を遠慮せずに伝えるべきでしょう。フライフィッシングに多くの貢献をしたベインブリッジ氏Mr. Bainbridgeの言葉を引用すると、「多くの人達が、他のスポーツをやめてフライフィッシングに夢中になってしまった事実を認識しておく必要がある。記憶をたどってみても、仕事をほったらかしにして、また、他のカントリー・スポーツからフライフィッシングに乗り換えたフライフィッシャーは一人や二人なんてもんじゃないんだから」
              釣り人Piscator
1856年2月、テムズ・サイドThames Sideにて
             -----つづく




閲覧数642 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2009/03/09 16:46
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