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2009年08月23日(日) 
 8月12日(水)。今日は移動日だ。オーストリアのグムンデンからチェコのヴォラリーに行く。車はエリカが貸してくれ、僕は一人で運転してチェコに行く。結果から言うとまったく問題なくヴォラリーに着いたのだが、ホテル探しに苦労した。
 僕はこれまで多くの旅行をしてきたが、そのほとんどが一人旅である。だから一人旅には慣れているんだが、この歳になって一人旅にやや不安を感じるようになってきている。いつ脳卒中や心筋梗塞をおこしてもいい年齢に達しているからだ。そのことがあって、今回初めて国際携帯電話を借りることにしたのだった。
 ヨーロッパの高速道路の標識はとてもわかりやすい。行き先の都市名が書いてあるので、その指示に従えばいいようになっている。グムンデン→シュタイヤーミュール→ザルツブルグ→パッサウ→フライウング→プラハと辿った。ドイツのパッサウで高速道路を降り、一般道を走ったとき、道はドナウ川と平行に走り、川の反対側にパッサウの綺麗な町並が見えた。


 フライウングのあたりから丘陵地帯になり、バイエルンの森を抜けていく。地図を見るとバイエルンの森とボヘミアの森は連続して平行に並んでいて、方やドイツ、方やチェコなのである。なだらかなバイエルンの丘陵地帯をかなり走って、もっとも高い地点らしいところで休憩した。見ると石でできた塔が建っていた。ドナウ川とモルダウ川の分水嶺であった。〈おお、来たか、これから先はモルダウ川領域なんだ〉と、僕には感慨が湧いていた。


 その後しばらく走ると、日本の高速道路の料金所のようなものがあって、国境かなと思ってスピードを落とし、一度停止してみたが、建物に人は居ないし、使用中の雰囲気がまったくなかった。つまり、ここはかつての国境であり、検問所があったのだが、いまや国境は無いも同然なので、使われていないということがわかった。再び車を発進させてチェコに入った。道路標識を見ていると字はドイツ語からチェコ語に変わっていた。つまり、PragからPrahaに変わっていた。


 何となく心が引き締まる。僕はチェコは初めてである。そして、これからが今回の旅のほんらいの目的地なのだから。チェコに入り丘陵地帯をやや下っていくが、そこはボヘミアの森なのだった。丘陵や樹々の感じはバイエルンの森とまったく同じである。しばらく走り、標識にヴォラリーが出てきたので右に曲がる。レノラという小さな部落を抜け、ホテルを探すが見あたらず、ガソリン・スタンドや道路工事の人に聞きながらソウモストラ・ホスポーダという僕が泊まるホテルにやっと着いた。グムンデンを出てから約3時間半がたっていた。意外と近いもんだな、と感じた。

 以上4枚、チェコの民家。オーストリアと似たところがある。
 僕の泊まるホテル。ソウモストラ・ホスポーダ。

 種で作った飾り物。
 チェコ・ビール。ピンボケはご愛嬌。

 まだ時刻は午後3時頃だったので、付近の探索にでかけた。ホテルのすぐ近くにソウモルスキー橋という駅があり、そして近くにモルダウ川源流が流れていた。モルダウMoldauはドイツ語であり、チェコ語ではヴルタヴァVltavaという。僕はボヘミアの森に行ってみたくなり、ドブラという小さな村を抜け、森の中を1時間ほど走ってみた。途中で材木を運搬する作業にぶつかったのでしばし見物した。クレーンで実に巧く材木のバランスをとってトラックに積み込んでいるのには感心した。また、トレッキングやサイクリングをしている人によく出会った。


 ボヘミアの森にはトウヒが多い。ホテルの僕の部屋から見たら樹の先端に十字架が見えた。明日からの釣りに神の加護は要らないだろうが、祈りたくなる気分も多少はあったと告白しておこう。

 夕方にはガイドのヤン・シマンがホテルに到着し、一緒に夕食を食べた。ヤンはとても気さくな50男で、英語が上手なのがありがたい。相手の目を見てゆっくりしゃべるのも好感が持てた。彼も僕と同じホテルに泊まって明日から一緒に釣りに行く。ホテルの夕食は甘い味付けであまり旨くはなかったが、ビールはまずまずだった。それでも日本のビールのほうが旨いと思う。
 僕はチェコにいる、確かにチェコに居る、ということを実感していた。明日からいよいよモルダウ川源流で釣りである。
 「邂逅の森」では話が進んでいた。文枝との恋を引き裂かれたマタギの富治は鉱山で鉱夫として生きることを選んでいた。

閲覧数547 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2009/08/23 18:34
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