今回、蓼科の池に行った前日、釣り人4人で原村のペンションに泊まった。このペンションの駐車場は広く、所々にブルーの小さな花がお花畑のように咲いていた。何の花かなと思って近寄ってみると、それはワスレナグサだった。
僕は花は好きだが、花の名はあまり知らない。その”少し”の中にワスレナグサが入っている。どうしてかというと、僕はこれまで世界中で釣りをしてきたが、釣り場でよく見かけるのがワスレナグサであり、はっきり覚えているだけでオーストリア、スイス、スコットランド、チェコ、アラスカ、ニューヨークなど。他の所でも見たと思う。ワスレナグサを見るたびに”ああ、ここにも生えていた”と思ってきたので、自然、ワスレナグサだけは見分けられるようになったわけだ。鱒の生息環境とワスレナグサの生息環境には共通点があるのだろう。ともに寒冷地の生物だからね。ワスレナグサは英語でForget-Me-Not、ドイツ語でVergiss-mein-nicht、日本語で忘れな草、私を忘れないでというドイツの伝説もあり、可愛い花である。
で、これまで僕が見てきたのは野生のワスレナグサであり、すべてブルーの色だった。ところがこのペンションにはブルーに加えてピンクのワスレナグサが咲いていた!僕はびっくりして写真をとった。宿の奥さんに聞くと、
「おばあちゃんが誰かからもらって庭に植えたら種が飛んで自然にどんどん増えていったんですよ」
とのことだった。
「ピンクがほしければ持って帰ってください」
と二株ほど根から掘り出してくれた。
ペンションは標高1300メートルの高地にあり、シラカバも生えていた。ここはちょうどワスレナグサの好きな気温と一致したんだろう。茎も長いものは30センチ近くもあって、元気よく伸びていた。
あとでネットで調べたら、ワスレナグサにはピンクや白もあって、園芸店で種を売っているそうだ。だが、僕は野生のワスレナグサでブルー以外の色は見たことがない。ピンクとホワイトは人工的に作った園芸品種じゃないかと思っている。