さて、後ろ髪を引かれながらもヘラ釣りを早めに切り上げ、車に戻り、ヘラ釣りの道具をトランクに放り込んで、相模湖を後にして、中央高速に乗った。河口湖に近づいたころから雨は本格的に降り始めた。東富士五湖道路、御殿場、乙女峠、仙石原を経て芦ノ湖湖尻に着いた。そこでは雨は土砂降りで、風も強く、まるで台風が来ているようだった。
ロッジに行くと、皆はもうかなり飲んでいて、盛り上がっていた。あまりに悪い天候のため、釣りはやらず、早くから飲み始めたそうだ。藤沢のO沢さんも飛び入りで来ていた。T橋さんの料理で、おいしいものがたくさん出たナア。彼は午後2時にはロッジに入り、料理を始めてくれていたそうだ。有り難いことだ。
翌日曜日は快晴。皆は早朝の釣りに行ったが、ボクはゆっくり起きて、8時には皆も戻って一緒に朝食。9時には「おおば」から出船となった。ボクの相方はS井君。ボクはエンジンボートの免許を持っていてね、船頭をやった。免許をとったのは1980年であり、芦ノ湖で試験を受けた。なんと31年前のことになる。
釣り方は2通り予定していた。一つはインジケーターを使ってニンフを沈めて釣る方法で、これはストリームサイドの勝俣さんお勧めの方法。もう一つは沈めてリトリーブする一般的な方法だ。前者用にはセージの5番9フィート、フローティングライン、フライは18番のビーズヘッドニンフとユスリカピューパを付けた。また、後者用にはセージのスイッチロッド、6番11フィートをテストを兼ねて使い、ラインはウェットティップ・ラインを使った。
まず、実績の高い九頭竜神社前に向かう。ほんとうに久しぶりのエンジンボートの運転でやや不安だったが、すぐに思いだし、気持ちよく運転できた。靜かな、広い湖をボートで行くのは気持ちが良かった。岸の木々は新緑が鮮やかで、ヤマザクラやヤマツツジが点々と咲いていて綺麗だった。
ボクはインジケーター・フィッシングで釣り始めた。すぐにオイカワが釣れ、そして25センチくらいのニジマスが釣れた。そして岸際を釣っているときにいいカタの魚が見えた。お、居るな、と思い、次に同じ場所に投げた。そして、投げ直すためにラインを手繰ったとき、大きな茶色の魚が水面に現れて、大口開いて赤いインジケーターを咥えようとした。だが、彼は直前に食うのをやめ、反転した。バシャと水しぶきが立った。そしてもう一度大口を開いて、ニンフをくわえたのだった。その一部始終が見えていた。なかなか強い魚でね、ジャンプを見せながらいいファイトをした。ティペットは6Xだったのであまり無理はできなかったが、取り込みには自信があった。5分ぐらいはかけただろうか、ネットに収まったのはりっぱなブラウントラウトだった。魚体はパーフェクトでヒレピンだった。計測すると47センチメートル。嬉しかったなあ、久しぶりのブラウンだし、いいサイズだし、魚体は綺麗だし、そしてなによりも釣れた有様がすべて水面でよく見えていたからだ。こんな経験はボクにとっても初めてだった。
「嬉しいなあ、ボクはもうこれ一匹で十分だよ」
というと、S井君が
「そりゃあそうですよ。これで優勝はいただきですネ」
と言う。がんばって芦ノ湖に来たかいがあったと思った。
お昼ごろからは風が強くなり、風裏を探して千里が浜、キャンプ場前で釣ったが、波も高く、ボートは流され、安定した釣りができなかった。スイッチロッドを振ってみたが、ウェットティップラインのせいもあってキャスティングは快適とは言えなかった。もっと長い13-15フィートのダブルハンド・ロッドのほうが振りやすいように思った。
最後に、風裏になりやすい九頭竜にもう一度行ってみることにした。予想通り、九頭竜は波静かだった。ボクは尿意をもよおし、休憩をかねて九頭竜の桟橋にボートをつけて、チト恐れ多かったが、大木のそばで用をたした。
ところで、九頭竜神社には若い女性の参拝が驚くほど多かった。3人連れの女性グループに聞いてみると、九頭竜神社は縁結びで有名なのだそうだ。おお、そうなのか、と納得した。そういえば、彼女たちも30代くらいだったな、いろいろ男で苦労してるんだろうな、と思った。
その後釣果は尻すぼみになり、4時半には納竿にした。
幹事のN居田君、お疲れ様。
ミニ釣り大会のほうはN居田・S浦組が、それぞれ8匹・9匹、S浦君の50センチのニジマスなどの釣果で優勝となった。A田君はゼロであったらしい。どうしたことか?
久しぶりの芦ノ湖泊まりがけ釣行、楽しんだなあ。
ことにボクにとってあのブラウンの釣りは長く記憶に残るだろう。
来年も同じ釣り方で狙ってみるか、なんて考えてしまうが、ま、そうそうはうまくはいくまい。