ある朝、お務めに出るために自宅の玄関に行くと、靴箱の上の壁に、眩しいくらいに明るい赤、青、紫などのきれいな色の模様があらわれていた。
お、なんだこりゃあ、とびっくりして光の元をたどると、玄関ドアの上部にあるステンドグラスをとうして朝日がさし込んでいたのだった。このステンドグラスはグレーリングの図柄であり、その背びれのところに陽が当たっていた。ほほう、こんな風になるんだなあとボクはしばし見とれたものだ。ステンドグラスというのは室内から絵を楽しむだけじゃなく、太陽の光がさしこんで床や壁が色とりどりの模様に映し出されるのもいいもんだなあ、と思った。
玄関ドアは南側に面していて、冬で、太陽が低くなって、うまく障害物の間隙から太陽光がステンドグラスに当たったようだ。家を建てたときはこんなことはまったく予想していなかった。偶然の産物だった。
ちょっと贅沢な気分である。ま、この歳になったから、このくらいの贅沢は許されるかな、と思った。