この週の後半、金曜は晴れが残っているが、土日は天気が悪いらしい。そこで、金曜はもともと半ドンだし(金曜の午後は北里大学に教育に行くので、クリニックの午後は休診にしてある)、大学は春休みで学生はいないので講義はない。で、午前中の仕事が終わったらソレッとばかりに釣りに行った。時間がないから東丹沢の行きつけの秘密の川に行った。そこならクリニックから30-40分ほどで行ける。 車止めに行くと、1台駐まっていたが、おそらく上流に行ったに違いない。過去にもヤマメが居た場所に行ってみると、水位は下がって、平水に近く、いい感じだった。そっと近づき、アダムスパラシュートの16番を投げる。 流心の向こう側に落ちたフライが細流に乗って流れが合わさったところに来たところで ”バシャッ”と水しぶきがあがった。そこで出ることを知っていたボクはすかざず合わせをくれると、魚が掛かった!絵に描いたような出方だった。寄せてくると、いいカタのオスのヤマメだった。今季の初ヤマメだ。ネットですくい、ボクはその美しい姿態を、久しぶりに会う恋人のようにほれぼれとながめたものだ。これ見よがしにパーマークが鮮やかで、側線と尾ビレの縁が赤かった。サビは入っておらず、傷もなく、ほんとうに綺麗だった。ヤマメって漢字では山女魚と書くが、絶対に女の雰囲気を持っていると思う。解禁後、4回目にして初めて手にするヤマメだった。手をひろげてサイズをはかると23センチメートルをすこし越えていた。ボクの手では、いっぱいに広げると親指の端から薬指の端まできっちり23センチメートルなのである。 その後、300メートルほど釣り上がったがヒットなし。ボクは気分も晴れやかに車に戻った。車止めに「思い出以外はのこさない」と看板があった。いつもは無視するんだが、この日はにこやかな気分で見ることができた。 帰り道、いつもは通り過ぎるだけの「オレンジツリー」というログハウス・レストランに入った。お祝いをしたかったからネ。そこは太い丸太を組んだりっぱなログハウスだったなあ。ケーキセットを頼み、モンブランでお祝い。そこの地下にはギャラリーがあってね、おしゃれな車の絵がたくさん展示してあった。 ウム、片目があいたな、と思う。これで心に余裕をもって釣りができるというもんだ。ヤレヤレ。 |