狩野川の状況がイマイチなので、このところヘラブナ釣りをやっている。で、今回、あるヘラブナ釣りクラブに入会した。と言っても大げさなクラブではない。相模川の六倉ヘラ釣り場の一角にブルーシートで覆った釣り小屋を持ち、その小屋の前に8台ほどの固定釣り台を置いているクラブだ。会員は10名ほど。 きっかけは、去年K藤さんという84歳の老釣り師と知り合いになったことだった。その方とは自然に立ち話をするようになり、とても丁寧にヘラブナ釣りのことを教えてくれるので、僕はお礼に「破天荒釣り師」、「釣りひとり」などの本を進呈したりした。そして去年の11月、二人で一碧湖に釣りに行き、その後急速に親密度が増したように思う。そのK藤さんが1月に坐骨神経痛になり、車の運転はできるが、歩行が困難になった。駐車場から釣り場まで歩いて行けないので、釣りはできないのだが、毎日駐車場までは来て川をながめておられた。その方が、 「私はしばらく釣りができませんので私の釣り台を遠慮なく使ってください」 と言ってくれた。その釣り台は前述のクラブ所有の釣り台のうちの一つであり、K藤さんはクラブの名誉会長であった。言ってみれば、六倉ヘラ釣り場のヌシのような人なのだった。 僕はその釣り台に通いはじめ、その場所はとてもヘラの寄りがとても良く、釣り場の一等地にあることがわかった。釣りクラブのメンバーとも仲良くなり、いろいろと教えてもらい、おかげで僕は急速に腕を上げていった。そして、自然の成り行きで仲間になっていって、今回半年分の会費3000円を納入し、正式に入会したというわけだ。 クラブには名称もなく、規則もない。ゆるやかな会であった。お昼の12時には小屋で一緒に昼食をとる、と言ってもおにぎりや即席ラーメンなんだが。木のテーブルがあって、卓上コンロで湯を沸かす。床には焚き火ができるように石組みの床が作ってある。職種はバラバラで医者は僕だけ。多くが定年後の年金生活者であった。クラブ所属のノラネコが居て、名前はタマちゃん。僕は別の世界で生きてきたオジサンたちとの交わりを楽しんでいる。 ついに僕はヘラから抜けられなくなってしまったようだ。どうせここまで入れ込んだんだからフライとの二足のワラジで行くしかないと腹をくくっている。これでまた今年も忙しくなりそうだ。 ボクの釣り座 |