22日の日曜日、連休だし、狩野川は混んでいるかもしれないと思い、秘密の川に行った。ここはある人から決して人に言わないようにと念を押されて教えてもらった小渓流で、これまで何回か行ったが、アマゴは小さいものの、ボウズを食らったことがない。 久し振りにその川に行くと、誰にも会わず、心安らかに落ち着いて準備し、釣りができた。暖かくて風もなく、気持ちのいい日であり、数種類のカゲロウ(ダンとスピナー)、ガガンボ、小さなカワゲラが飛んでいた。水温は10.3℃で、この沢にしてはまずまずの水温だった。 この日はやったことがない場所に入った。とても渓相はいいのだが、フライに反応がなかった。そして対岸寄りの小さな流れで1匹釣れた。10センチメートルほどの小さなアマゴで、朱点が鮮やかだった。サビが残っていて、地のアマゴだと思われた。僕にとっては、可愛い、可愛いアマゴだった。 小さくても今季最初のアマゴが釣れ、とても嬉しかった。やや広い河原があったので、そこで弁当を食べた。このところ女房どのの機嫌がよく、弁当にもその気持ちが表れているようだ。 弁当を食べながら、こうやって元気に気分良く釣りが出来て、食欲もあって弁当が味わえるのも、抗癌剤治療を受けなかったからだと思った。抗癌剤治療をすると、統計上、生存期間が5パーセント伸びる可能性がある。たった5パーセントのために、副作用で苦しむのは割に合わないと思い、抗癌剤治療は受けないことにしたのだ。ま、1-2年元気で過ごせればいい。その後は再発や転移が起きるだろうが、それはそれで天命だと思うことにしている。 釣りの方は結局その1匹だけで、あとはまったく釣れなかった。どうやら餌釣りに抜かれているようだった。 ともあれ、今年初めてカタを見たのだ。今年通っている所じゃなく、秘密の小渓流に来てしまったのは、妥協・怠惰のそしりを受けるかもしれない。学生時代には日和(ひよ)ったと言ったものだ。 だがネ、これでカタを見たので、安心して今後はふたたび例の場所に通おうと思っている。伊勢さんから、自分は忙しくてなかなか釣りに行けないから、代わりに釣ってくださいと言われているし・・・。