この日はソーントンでの釣りの二日目。天気は晴れ。ゴールドバーン川は増水ですぐには回復しそうにないので別の川に行った。そこはコテッジからは15分ほど走った所で、川はルビコン川Rubicon Riverといった。その名を聞いたとき、どこかで聞いたことがあると思った。「ルビコン川を渡る」というのは一大決心をして踏み出すことを言うからね。(日本に帰って調べたら、紀元前49年、ジュリアス・シーザーは決起して当時国境であったルビコン川を越えてイタリアに攻め入った。その時に「賽は投げられた」と檄を飛ばしたそうだ。この北イタリアにある川はいまではいい鱒釣りの川になっているようだ) まず、ルビコンの上流部に行った。やや増水だが、フリーストーンの川だし、なんとか釣りになりそうだった。ここではボクに小さなレインボウが3匹釣れた。オーストラリアの川での初釣果であり、いちおう写真を撮った。また、橋の近くではファミリーの餌釣りが居て、椅子に座って釣りをしていた。のどかな風景だった。 今回の旅行で問題になったことはニュージーランドでは数年前からフェルト底のウェーディングシューズが禁止になったことだった。しかたなくゴム底のシューズを探し、ボクはシムスのビブラム底にスタークリーツを取り付けたものを持ってきた。Y田さんはオービス製を持ってきていた。そして、そのゴム属靴のテストにこのルビコン川上流部が最適だった。かなりの水勢があり、石の表面にはヌルが付いていたが、まったく滑らなかった。クリーツがガッチリと石に食い込み、フェルトより安心感があるほどだった。あとで聞いたらオービスの方もまったく滑らなかったそうだ。彼は、こんなに滑らないのならフェルトはもう要らない感じですねなんて言っていた。 昼からはルビコン川の中流部に移動した。そこは広い牧場の中をゆったりと流れている所で、言ってみれば忍野のような流れだった。ボクはすっかり気に入って、駐車場よりずっと下の方にまで歩いて行った。広い草原にはユーカリが高くそびえ、オーストラリアらしい風景だった。カゲロウが多少飛んでいたので、ライズを探してみたが、なかなかライズはなかった。川が急角度で曲がっているところがあり、そこに腰を下ろして釣っていると、突然、流れの中心部で黒い大きなものが水面に浮き上がり、水面でしばらくもじっていたが、やがて水面下に消えていった。大きな背びれが見えたので鱒であることはまちがいなかった。なんとか写真を撮ったが、綺麗には写っていない。その後、やっきになって攻めたが釣れなかった。ま、50センチメートル以上の大物が居るのは確認したが、ここで釣るのは難しそうだった。だが、とても気持ちのいい釣り場であり、いいハッチに恵まれるか、夕方なら、いい釣りができるだろうと思われた。 夕方には釣りをやめ、ゴールドバーン・フライ・フィッシング・センターに行ってみた。そこではフライを売っていてね、大きなフライがあったので見ていたら、名前がなんとミセス・ノビーMrs. Knobbyであった。セミのパターンらしく、その写真を撮ったりしていたら、センターの責任者が来て、あげるよと言ってくれたので喜んでもらったものだ。 この日は早めにコテッジに帰り、支度をして、メルボルンに移動だ。そしてこの日はリックの家に泊めてもらい、明日朝の便でニュージーランドへ向かう。多少忙しいがやむを得ない。そこで記念写真をコテッジの前でパチリ。