昨日はソーントンでウェーダーとウェーディング・シューズを綺麗に洗って泥を落とした。ニュージーランド入国でのきびしい防疫チェックを通るためだ。ニュージーランドはディディーモをはじめ川での藻類・菌類の伝染を防止するため、ウェーディング・ギアのチェックがきびしくなっており、泥で汚れていたりすると没収される可能性もあるらしい。また、フライのマテリアルにも厳しく、自分で巻いたフライは持ち込み禁止だそうである。だから、入国の時にはフライは商品を買った物だと言ったほうがいいとリックに教わっていた。このことは自分で体験して、まったく正しかったのだった。そして、昨日はリックの家に泊めてくれ、伝統的オーストラリア料理とワインでの夕食だった。
4月30日、朝9時にメルボルンを出発した。リックが空港まで送ってくれた。ありがとう、リック・ドゥギーナ!何から何まであなたのお世話になりっぱなしだった。お礼にと言っては失礼かもしれないが、ボクはVFFAに入会申し込みを出しますよ。リック会長のお世話で会員がひとり増え、会費も一人分増えるのだから。オーストラリアでは、釣りはイマイチだったが、それ以外に忘れがたきできごとがたくさんあったからね。
さて、機上の人となった我々としては、これまでのオーストラリアは儀礼訪問の要素が大きかったが、これ以後のニュージーランドでは頭を切り換えて、”さあ、釣るぞ!”と意気込んでいた。
クライストチャーチで入国し、釣り具のチェックはリックの言ったとおりだった。係官が、
「フライは自分で巻いたものですか?」
と聞く。ボクは得たりやおうと、
「いや、全部買ったものです」
と答えた。すると、
「大変けっこうです」
と言い、係官はにっこりして、フライボックスをチェックもしなかったのだった。その目は〈本当は自分で巻いているんだろうが、ここは規則にしたがった返答をしてくれてありがとう。これであなたもフライを没収されないですむし、こちらも嫌な作業はしなくてすむしね〉と言っているようだった。ただ、ウェーディング・シューズは別室に持って行かれ、返されてきたときには消毒液の匂いがした。
我々はクライストチャーチで乗り換え、クイーンズタウンへ行った。そこでレンタカーを借り、マタウラのデイビッド・マレオールの家に向かった。カーナビのおかげでなんとかたどり着いたが、着いたのは夜の10時頃になっていた。デイビッドとベブと会うのは10年振りだったが、それほど年取ったようには見えなかった。再開を祝い、ビールを飲み、スコッチを飲んだ。さあ、明日からはマタウラで釣って釣って釣りまくるぞと思った。
クライストチャーチ空港にて
待ち時間をすごす若者たち
ニュージーランドの山々