春は忙しい、渓流とヘラで。 今年はおまけにスキューズ本の校正もある。 ヘラブナは春には産卵(ハタキ、乗っ込み)のために浅場に寄るので、狙いやすく、釣り人は大物を狙って通うことになる。相模湖では今年2回目のハタキに入り、まだ何とか間に合いそうなので、14日、出陣した。 この日、ボクは「大曲り」というポイントに入った。新緑が鮮やかで、湖面は穏やかだった。釣り始めて1投めか2投め、急に浮きが沈んだ。予想もしていなかったので強い合わせになってしまい、ガツンと手応えを感じた後、竿は軽くなった。仕掛けを見てみると、なんとハリスと鉤の結び目がほどけていた!こんなことは初めてだった。最近相模湖用のハリスを1.5号に上げたので、これだけ太いと緩みやすいのかもしれない。今後は釣り場で使用直前にも強度確認をしようと思った。 8時半までに3匹が釣れ、1匹は突進して竿はのされ、竿の上半分は水中に持ち込まれた。竿は相模湖の巨べら用に使っているシマノ慶春風硬調振り出し竿12尺なので、穂先抜けの心配は無い。糸を切られるかと思ったが、最後の瞬間に魚は疾走をやめてくれた。上がってきたのは腹パンの見事なヘラ鮒で計測すると44.5センチメートルあった。ボクにとって4匹目の型物であった。 この日はその後が何もナシだった。浮きは動かず、たまに動いてもハヤが釣れるだけで、それも午後になると魚ッ気がなくなってしまった。ハタキも終わり、ヘラは深場に戻ったか、残ったヘラが居ても食い気が消失したか、どちらかだったのだろう。携帯ラジオをつけると、どうでもいいバカ話をしていた。 昼過ぎには退屈になり、舟の中で昼寝をした。ぐっすり1時間ほどは寝た。こういう時、テント船はありがたい。夕方まで粘ってみたが、無駄であった。 春の日、静かな湖面に一人舟を浮かべ、まぶしく輝く緑の中で過ごすことができた。一瞬ではあったが、巨べらとの格闘もあったし・・・ これ以上、何を望むことがあろうか!