5月1日。さて、本格的釣りの第1日目だ。ただし、悪い条件として前日に雨が降り、増水・濁りとなっている可能性があった。天気は曇り。 朝、川に行ってみると、増水はそれほどでもなかったが、濁りはかなりのものだった。ハッチはあっても午後2時頃からとのことで、午前中はニンフ・フィッシングをやることになった。ところががんばってニンフを流すのだが、濁りのせいか、まったくアタリがなかった。念のため、カプチーノ・ポイントと呼ばれる所も覗いてみたが、ライズはなかった。午後にはもっともライズがよく見られるポイントに行って、ライズ待ちをした。午後1時地半ごろになって14番サイズのカゲロウのダンが出始めた。ツバメも水面上を飛び始め、カゲロウをついばんでいるのが見えた。だが、ライズはまったくなかった。3時になり、4時になり、5時になってもライズはなかった。 デイビッドはかなりイライラしていた。「昨日までライズはたくさんあったんだよ。今日も、濁りは入っているが、泥濁りというわけじゃないし、これだけカゲロウのダンが流れているんだから、ライズがあってもいいはずなんだが・・・」 ボクは川岸の草原に座って、じっと水面をながめているだけだった。やることもなく、ときおり写真を撮ったりした。 そうそう、今回ファンテールという小鳥が釣り人の周りを飛ぶのを見た。座っているボクのまわりにも時々やってきた。セキレイ位の大きさで、近いときにはボクから2メートルくらいまで寄ってきたりした。こんなに人の近くに来る鳥をこれまで見たことがなかった。ベブの話では、この鳥は人のまわりに集まる虫を食べに来ているそうだ。この鳥はセキレイのように尾が長く、上下に上げ下げするが、もうひとつ動きに特徴があった。それは尾羽を広げたりつぼめたりするのだった。だからファン(扇)テール(尾)と名付けられたようだ。その鳥の写真を撮ってみたが、普通のレンズではうまくは撮れるもんじゃない。 そして、夕方になり、釣りは終了となった。ボクもY田さんもボウズとなった!デイビッドは言った。「これまで20年以上ガイドをやってきてボウズは初めてだよ。明日、明後日と濁りはとれてくるから良くなるとは思うが、今日は残念だったね」と。 我々は少なからずがっかりしたが、天候だけはどうしようもない。明日からの釣りに期待して、酒を飲んで、寝た。救いはベブの料理が旨かったことくらいか、な。