5月31日(日)、晴れ。今日から釣りだ。昨夜の4人組も来ていて、朝食を一緒にとり、お互いに健闘を祈り、記念写真をとって分かれた。マシューともう一人の初心者に初めての鱒が釣れるといいが・・・。(後で聞いたところ、釣れなかったそうだ。帰りの時刻が迫っていて、あせったことも悪条件になったらしい) ボクは20番の西山広場から入渓した。広場に設置されたメモリアルチェアーには西山 徹さんの顔を彫った金属板が取りつけてあった。その顔は西山さん本人にあまり似ていないのが残念だが、彼と生前親しかったボクは、自動的に彼の事を思い出していた。 川はとても綺麗でゴミは一つも落ちていず、気持ちが良かった。水温は15.5℃と理想水温だった。しかし、水の透明度は高く、水位は低く、魚は脅えていて、淵尻に近づくと魚がサッと逃げるのが見えた。これではドライフライで釣るのはきわめて難しい。よほど遠くからロング・リーダー+細いティペットで攻めるか、きわめて慎重にストーキングして魚の真上からフライを落とすか、しかない。そして釣れる可能性の高い瀬ではしつこくフライを流すしかない。 この日もそんなことを繰り返しながら何とか2匹のアマゴを釣った。大きくはないが、姿が美しいのが嬉しい。浅瀬に居るアマゴは愛らしくてね、休憩をかねて河原に座り込んで、アマゴの写真を撮ったりした。 陽が傾きだしたころ、上流側を見ると逆光の中に川が流れ、あ、どこかで見たような情景だなと思った。記憶をたどると、映画「リバーランズスルーイット」のポスターに使われたシーンで、逆光の中でポールがミラクルキャストを見せるシーンだった。 その後、齋藤さんがどこからともなく現れて、「ライズしているところがありますよ」と教えてくれた。その淵ではライズはあったが、慎重に近づいたにもかかわらずライズは止まってしまった。淵の始まりの所は深く、大石があって好ポイントになっていたので、そこで暗くなるまでねばることにした。時折、水しぶきの上がるいいライズがあり、アントなどいろんなパターンを使ったが釣れず、最後に試したのが田中山の朽木さんが巻いたノゾリコ・スペシャルというテレストリアルで、これで1匹を釣ることが出来た。朽木さんに感謝である! そして引き上げるときに上流側を見ると、迫り来る夕闇の中にかすかにノバラの白い花が見えていた。