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2011年06月06日(月) 
 6月5日、晴れ。今日は秘密の湖での釣りだ。そこは谷底にある小さな湖で、200 × 600メートルくらいの大きさだ。この湖は道路や登山道からまったく見えず、釣り人はごく少ない。この湖には立ち入る人が少ないので、自然がそのまま保たれている美しい所だ。そして、ここには見事なレインボウトラウトが居る。ボクも7-8年前に初めてその魚を見たときは、アメリカのネイティブ・レインボウにそっくりなのにびっくりしたものだ。そんなレインボウを北海道を含めて日本の他の地で見たことはない。最大の特徴は黒点がビロードのように真っ黒であり、大きく、そして数が多いこと。また、この湖のインレットではレインボウの稚魚をたくさん見た。つまり、ここのレインボウは自然繁殖を繰り返しているのだった。
 虹鱒は日本各地に養殖魚が放流されているが、北海道を除いて、自然繁殖することはほとんどないとされている。ところがこの湖では自然繁殖をしているわけであり、この湖の標高が高く、水温が低いので、よほど北アメリカやカナダの山地の気候と似ていたからに違いない。この湖には戦後ニジマスが放流されたらしいが、その後、この湖は放置され今日に至っている。水産の専門家の話によれば、養殖の虹鱒が1カ所に放流され、孤立して、近親交配を何十年も繰り返すと遺伝子は原種の遺伝子にだんだん近づいてくるという。その説明がここの美しいレインボウトラウトの存在理由を説明するのに具合がいいようだ。この湖には数十年前に虹鱒が放流され、その後放置され、道からも見えない隠れ池として孤立し、追加放流もされず、イワナやヤマメも生息していないので、虹鱒だけのサンクチュアリーなってしまったようなのだ。
 ボクはこの湖を訪れるのは今回が2度目だ。この日も急坂を木の枝につかまりながら下って、湖の岸を半周して浅瀬のある側に行って釣りをした。もちろん、釣り人は誰も居なかった。先頭を歩いていたボクは草むらから動物が跳びだして逃げていくのを見た。それは、白い斑点が残っている子鹿だった。
 岸辺に立ち、ボクはこの美しい隠れ山上湖をしげしげと眺めた。周りには白樺まじりの新緑の林があった。この日、虫はかなり飛んでいたが、ライズは少なかった。3人で釣り、Y田さんだけが2匹釣った。どうやら彼が入った場所がいい所だったようだ。ボクは探検がてら、前回多数の稚魚を見たインレットの方に行ってみた。すると、大きな魚の後ろ半分が岩の陰から見えたのだった。そばには中型の魚も見えていた。ああ、産卵だ、と直感的に思った。レインボウトラウトの産卵は一般的に5-6月とされている。今は6月初旬だから、ピッタリの時期なのだった。そして、3人で流入している細流を上流へとたどっていくと、居た居た、大きいのは50センチメートル、小さいのは25センチメートルくらいのレインボウが浅瀬にペアで居たのだった。ついに産卵の現場を見たのだった!僕たちは魚をおどかさないよう、遠くから観察し、写真を撮った。細流をたどると、水は崖の中腹から湧き出していた。ここは湧き水の池であったことが判明したのだった。
 レインボウも釣れ、写真も撮った。産卵も見た。皆、満足して、ある種の感慨を感じながらその湖を後にした。帰りながら、おそらく同じ事を考えていたに違いない。それは、
”この湖のことは絶対に秘密にしておかなければいけない。日本国内で数少ないレインボウ・トラウトの聖域なんだから”と。







閲覧数528 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2011/06/06 17:51
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