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2015年06月06日(土) 
 5月30日(土)。晴れのち雨。伊予西条に着いたのは午後2時半ごろだった。駅には中野川倶楽部のオーナーである齋藤さんが迎えに来てくれていた。1年ぶりの再会だった。
 倶楽部に着いた頃から小雨が降り出していた。齋藤さんが
「ここ2週間は晴れて雨が降らず、水位は5センチメートルは低くなっています。これは恵みの雨ですねえ」
と言う。そして
「今日はまだ1~2時間は釣りが出来ますから、やってはどうですか」
と勧める。だが、この日は移動日であり、ボクのほうは釣りをするつもりはまったくなかったので、〈いや、明日から3日も釣る日がありますから、今日はゆっくり釣りをする時間はないし、やめておきます〉と言ってしまった。ところが、この日、暗くなってから齋藤さんが驚くほど虫が飛び、ボクは釣りをしなかったことを悔やんだのだった。ボクは3人が泊まれるロッジを1人で専有して4泊する予定だ。
 この日、他に4人の釣り人が来ていて、彼らは明日も中野川倶楽部で釣りをするという。彼らはイーライリリーという製薬会社の社員で、2人の経験者と2人の初心者であり、初心者の1人はマシューというイギリス人だった。この日は彼らにボクが加わって夕食になった。おおぜいで食事をするのもにぎやかでいいし、経験者の1人がボクにサインをしてもらうために本を持ってくるというのを聞いていたので、会食が楽しみでもあった。
 夕食はワインとビールで始まり、齋藤さんの奥さんの手料理で、いろんな酒の肴が出て、なごやかに始まった。ちょっと驚いたのは4人がお互いに英語で話していたことだった。聞くと、全員がアメリカ本社に数年は勤めたことがあるそうで、とても自然な感じで英語を話していた。
 マシューはイギリスのリバプールで生まれて18歳まで住み、その後はアメリカの大学に行って、そのままアメリカに長く住んでいるという。彼はいくつかストレートな質問をボクにぶつけてきた。
「ドクター・カワノはアメリカがお好きなようですが、アメリカのどの点が他の国よりお好きですか?」
と。これはなかなか答えにくい質問だったが、
「そうだねえ、アメリカ人はひとたび信じられると思うと、すぐに打ち解けて受け入れてくれるところが好ましいと思っている。カナダ人は丁寧だが、慇懃無礼の感があるし、イギリス人の階級意識はボクには理解できないなあ」
と言うと、まったく賛成だと言っていた。また、ボクが福岡生まれだというと、
「福岡市の駅はなぜ博多駅なんでしょうか?」
と聞く。それはね、江戸時代には博多という商人の町と福岡という武士の町が那賀川という川を境にしてあって、同じくらいの人口でね。明治になって市を作るとき、市議会は博多出身の議員と福岡出身の議員が同数だったんだ。市の名前をどうするか決められなくて、議長がたまたま福岡出身の人だったので「福岡市」になったんだよ。だけど、博多出身の議員達は騒ぎ、駅の名には博多を使うことで一件落着をしたんだよ、と説明すると、マシューは目を輝かせて
「そうだったんですか、よく分かりました。ブタペストの名の由来と似てますねえ」 
と言っていた。他の日本人も初めてこのことを聞いたようだった。また、マシューには、日本滞在中に(日本で最高の民衆の祭りなので)阿波踊りをぜひ見に行くように勧めておいた。
 ボクがパイプを吸いにベランダに出ると、やはりパイプ・スモーカーである齋藤さんが横に来て、
「大勢さんに川野さんを混ぜてしまってすみません」
と言う。
「いやいや、とんでもない。にぎやかでけっこうですよ。皆さん、気持ちのいい方達ですね。ボクも楽しかったです」
この時も虫が大量に飛んでいて、釣りをしなかったことを後悔したものだった。


閲覧数672 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2015/06/06 00:29
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