浩而魅諭(ひろじみゆ)さんという女流画家のことを知ったのは去年のことだった。ある人から彼女が描いた「オショロコマ」の絵の複製(コピー)をいただき、とても気に入ったのだった。その絵の繊細なタッチも良かったが、いちばん印象深かったのはオショロコマが可愛く描かれており、対象に対する愛情を感じたものだった。
そして今年の6月、ある研究会で札幌に行ったとき、魅諭さんに会うことが出来た。彼女は北海道の動物全般に強い関心を持っていることも分かった。画法はボールペンで下書きをして水彩絵の具で彩色するそうだ。僕は札幌の後は釧路に行き釣りをしたが、その時、水口吉朗さんと阿寒湖に釣りに行った。僕は水口さんから、阿寒湖のアメマスは金色をしているんです、どうしてそうなのかは分かりませんが、ということを聞いていたので、そんなアメマスを見たいと思い、阿寒湖に行くことにしたのだった。そして、めでたく黄金のアメマスが釣れた。このあたりの経緯は以前狂四郎日記/フェイスブックで紹介したので詳細ははぶこう。
その旅行が終わり、相模原に帰ってから、その黄金の雨鱒の絵を浩而魅諭さんに描いてもらおうと思った。彼女にメールを送ると快諾が得られ、その後、何度もデザインについてメールをやりとりした。僕はかなりの数の写真を送ったし、彼女は彼女で下調べをしてくれたようだ。
そして今日から1週間ほど前、絵ができあがって送られてきた。作成依頼をしたのが7月9日だったので、約4ヶ月後だった。彼女は完成が遅れて申し訳ないと言っていたが、この4ヶ月のうちの1ヶ月くらいはデザインの打ち合わせに使われたので、実際の作画期間は3ヶ月ほどだろうか。僕の方は急いではいないし、時間をかけていいものを描いてくれればそれでいいと思っていた。
で、その絵をご覧いただこう。
彼女はもっと可愛い感じに描きたかったようだが、僕のたっての希望で、アメマスは北海道だけに居る貴重な天然魚であり、人の手がほとんご加えられていない野生魚なのです。自然の中で生き抜いてきた野性を表現してほしい。ことに阿寒湖のアメマスは独特の黄金色をしていて美しいものです。そんな魚を描いてほしいのです、と頼んだのだった。
僕はこれまで鱒や鮭の絵をたくさん見てきたが、彼女の絵は独自のリアリティーを持っているように思う。いい顔をしているし、口もいいし、ことに目がいい。
オスの野生のアメマスの精悍な感じがよく出ているし、立体感が感じられ、そのリアルで繊細な絵からは、アメマスを触った感触や体温さえも思い起こさせるようだ。
いい絵を描いてもらったと、とても喜んでいる。
浩而魅諭のフェイスブック: https://www.facebook.com/miyu.hiroji