4月27日(水)、曇りのち雨、狩野川に行った。今年の狩野川では3月にはそこそこ釣れていたようだが、4月になると誰もまともな魚が釣れなくなっていった。暖冬の影響もあったのだろうが、釣れない理由は判然としない。魚が少ない感じなのだ。で、今年の狩野川の釣り納めみたいな感じで今回行ってみた。
まず、保険をかけることにして、支流に直行し、新緑の中で気分良く釣りをすることにした。竿は最近手に入れたラリー・ケニーの7’3”、#3のグラスロッド。とてもスムースなアクションで気に入っている。そして15センチメートルくらいのアマゴが2匹釣れた。気がつくと水面上で14番くらいのカゲロウが群れて上下運動をしていた。スピナーフォールだった。だが、あたりをみまわしてもライズはなかった。
つぎに夕方狙いでカワノ・プールに行った。去年はそこでたくさんライズがあったんだが、今年はライズを一度も見ていない。そこに行くのは大変だが、他の釣り人に会わないのがいい。薄暗くなるまでライズ待ちしていると、モンカゲロウが羽化し始めた。今年初めて見るモンカゲロウだった。
我々フライフィッシャーマンはカゲロウが羽化すると無性に嬉しくなるものだ。カゲロウが流されれば魚の食欲は刺激されて、ライズが始まることが多いからだ。僕も嬉しくなって、つぎつぎに水面から翔び立つ大カゲロウを眺めていた。美しく、感動的でさえある景色だった。だが、魚のライズはまったく起きなかった。
ここで、フライフィッシャーマンは得意の価値観を持ち出す。”魚は釣れなくても、見事なカゲロウの羽化を見ることができたから、幸せだった”と!
このような幸せの感じ方はフライフィッシャーマンの特権である!他の釣り師にはこの気分はとうてい分かるまい、ざまあ見ろ!!!
この日、森村さん(狩野川の主のような)と朽木さん(焚き火親爺)と3人で夕食をとった。例によって釣り人の話は尽きることがなかったが、この日、ライズの釣りの話になり、森村さんの話が印象に残った。
「これまでライズがあって何を投げても釣れず、マルツツトビケラのイミテーション・パターンでやっと釣れたことが何度かあるんです。黒くて小さなトビケラで、とても見えにくいマイクロカディスなんですが」
この話は僕の経験とも一致していた。ライズがあって何を投げても釣れず、最後にアントパターンや黒いビートルを投げて釣れたことがある。それはもしかしたらマルツツトビケラとして効いていたのかもしれない。
ゲイリー・ラフォンテーンが聞いたら跳び上がって喜びそうな話である。
黒くて小さなフライか・・・。
そんなことを書いた人が居たなと、僕の目は遠くなった。
森村名人、恐るべし!


