中日新聞のコラムです。忠犬ハチ公の事が書いてあったので話題のないのでコピーしました。
1926(大正15)年生まれの鉄道紀行作家、宮脇俊三さんは東京の渋谷に育ったので渋谷駅で帰らぬ主人を待つハチ公を見ている
▼見かけたのはハチ公の晩年だろう。いつも生気なく横たわっていたという。誰かがエサを与えても気だるく眺めるだけでその姿勢を変えなかったそうだ。老いても「品格のある犬だった」
▼ハチ公の珍しい写真が最近公開された。ハチ公が「お手」をしている。エサか何かを差し出す駅員に腰を上げたままの姿勢で左の前脚を差し出している。不思議な「お手」である
▼飼い主の上野英三郎・東京帝国大教授は犬の心を卑しめるからとエサで芸を教えることを嫌っていたそうだから、ハチ公は主人の死後、渋谷駅で「お手」を覚えたか。「お手」ばかりか、「おすわり」「おまわり」ができたという証言もある
▼ハチ公の写真の顔といえば、真面目でどこか悲しげなものが多い気がする。この手のユーモラスな写真があまり出回らなかったのは、ハチ公の主君の恩を忘れぬ「忠犬」のイメージのせいもあるか
▼あくまで想像だが、主人を待ち続けるハチ公を「忠君愛国」に結び付けたかった時代にあっては、エサに釣られて芸をするような姿は「忠犬」にふさわしくないと考えられていたのかもしれぬ。写真をもう一度見る。このハチ公、忠犬も品格も脇に置いて、ちょっと笑っているのが、うれしい。
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残念ながら「ハチ公」の銅像ほんもの見たことありません。