6月15日(金)。
前日の夕方には安比高原のペンション「森のなかまたち」(http://www.rnac.ne.jp/~morinaka/ )にチェックインした。ここは多家さんの妹夫婦がやっているログハウスのペンションで、なかなかに快適だった。釣り人にとって我が儘が効く宿泊所は得難いものだ。川釣りでは夕方遅くまで釣ることが多いから、宿に帰ってくるのは9時ごろとなる。ここなら遅くなっても夕食を出してくれるのがありがたかった。しかも、その後は酒を飲んで遅くまで釣り談義となる。ここで3泊、お世話になった。
ここのご主人、通称ハマチャン、は独特の人柄である。よく働くし、人当たりも良く、トライアスロンをやり、酒が入るととたんににぎやかになり、英語を交えたジョークの嵐となる。
ところで掛川組の佐藤・榑松・山中はこの日早朝に安比に着き、あまりに早朝だったので、ペンションに入る前に車で1時間仮眠したそうだ。掛川から安比までは遠いからね。この晩一晩ペンションに止まって、翌日にはもう安比を発って早池峰山の渓流に向かい、そのまま掛川に帰っていった。嵐が通り過ぎたような、超多忙の佐藤君らしい動きだった。
この日のお昼頃、東京の小口修平氏と横浜の清水純孝氏が安比に到着、我々に合流した。小口さんは84歳、もと釣り人社社長、清水さんは75歳(?)、もと出版社勤務。お二人とも釣り歴は長く、日本の釣り業界の長老であり、今回はテンカラ釣りでの参加となった。お二人が今回の釣行に参加することになった経緯は長くなるので割愛しよう。いずれにせよ、このお二人のお世話は多家、川野、小川の3人がすることになった。これがけっこう大変だったのだが、僕は小口さんの古い話を興味深く拝聴したものだ。
宿で一休みして、釣りに行く。小口・清水組を川へ置いて、近くで僕と小川さんは山菜採りをした。道路からちょっと脇道へ入ると、すぐに小川さんがシウデを見つけた。僕も教わっていくつか取ったが、とても小川さんにはかなわない。ワラビもかなり獲れたが、コゴミはすでに育ちすぎていた。
宿の夕食では獲ってきた山菜の天ぷらが出た。また、アカシアの花の天ぷらにはビックリしたが、わずかな甘味があって、おいしかった。
左:シウデ、右:名も知らぬ花
ところで、三島の新居田君はこの日、ひとり、安比を引きあげて、三島に帰っていった。その理由を書いておこう。それはね、土曜日におこなわれる息子の学校の父親参観日に出席するために帰ったのだった。おそらく、今回の旅行の前には彼の家族で相当にシビアーなやりとりがあったことだろう。あのときも来なかった、この時も欠席した等々、だから、今回ばかりは絶対出てください、でなければワタシは実家に帰ります、なんてことを言われたのかもしれない。
彼もかなりの程度に狂っている釣り人だから、けっして喜んで安比から帰ったはずはない。おそらく、ほぼまちがいなく、泣く泣く帰ったのだと思う。新幹線で1人で帰るのはくやしいし、むなしいよね。だがね、新居田君。よくぞ帰ったと言いたい!君は正しいことをしたのだよ。家庭の崩壊をふせいだのだから。僕にはできないことを君はやったのだよ!僕もね、ここには書けないほどのコトをやって釣りに行ったものだ。少なくとも3度は招待された後輩の結婚式を釣りが理由で断っている。祝電に「遠くXXの渓より、お二人の門出に幸あれと祈る」なんて書いてね。
世間の常識は釣り人にはまったく通用しないのである
つづく。
追伸:この紫の花も名前が分からない。分かる人は教えてほしい。