前回はまじめなブログを書いてしまったが、実は、はるばる上田まで行くんだから、もったいないから釣りもしようと思っていた。転んでもタダでは起きないというか、陰と陽と言うか、遊びもやったというわけだ。このへんが僕のしたたかな所だ。 適当に道ばたの川で竿を出すのも一興だろうなんて思っていたんだが、上田の町を走っていると釣具屋を見つけてしまった。ダメモトで入って、オヤジに渓流釣りをしたいんだがと持ちかけると、何のことはない、彼は渓流釣り師であり、しかも気さくに地図を描いて詳しく教えてくれたのだった。当然、そこで入漁証を買った。 2カ所で釣りをしたが、依田川が渓相が良く、竿が振りやすくて良かった。立岩というところで釣ったが、ヤマメに加えてニジマスが釣れたのにはびっくりした。 気に入ったのは大門川の本沢渓谷で、生えている木が大きく、暑い陽射しをさえぎってくれるのがありがたかった。ここはよく釣り人が入るらしく、チビイワナが1匹釣れただけ。大堰堤の下の浅瀬で面白い流木を見た。どうやら木の根のようで、根の間に石が挟まっていて、この状態で流されてきたようだった。 樹木は濃い緑色の葉を茂らせ、木の葉は風に揺れ、その間から陽光がチラチラと差し込んでいた。清冽な水が山の上から流れ落ちて、岩を濡らし、苔が生えていた。流れに足を踏み入れればひんやりと冷たく、汗がスーッと引いていく。岩を伝って身を隠しながら僕は竿を振って期待を込めて毛鉤を水面に落とす。生きている、俺は生きているぞ!、と僕は思った。とまあ、渓流釣りならごく普通の状況なんだが、今回はことに新鮮で、素直な感動が湧き起こっていた。 依田川 本谷渓谷 |