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2014年03月06日(木) 
 いや、頭のほうじゃ分かっているけどね。
 気持ちの方が、そうついて来ちゃくれねえんだよ。
             第6作『男はつらいよ 純情篇』から
 植木等さんの「スーダラ節」に「わかっちゃいるけどやめられない」というフレーズがあります。この曲を歌うことに抵抗があった植木さんに、僧籍にあった父・徹誠(てつじょう)さんは「この歌は人間の心理をついている」と称賛したそうです。
 人間は頭で理解していても、心や気持ちはそうはいかないことが多いです。あるとき、山田洋次監督と話していて、このせりふについての話題になりました。
 第6作『純情篇』で、寅さんは二階の部屋に下宿している夫と別居中の明石夕子(若尾文子)に恋をしてしまいます。それを心配するさくらは「お兄ちゃんとは関係ない人よ」と戒めます。
 「寅さんは、人妻に懸想してはいけないと、頭では分かっているのに、気持ちはそうはいかないんだ」と山田監督、寅さんの中には、誰も抱えているその矛盾への葛藤はあるのです。
 寅さんは二度と柴又に戻らない覚悟で旅に出ます。旅先でもそう思っているはずなのですが「気持ちの方は、そうは考えちゃくれねえんだよ」と、いつも帰ってきてしまう矛盾について「困った話だよ」とさくらに話します。今まで涙ぐんでいたさくらは「本当に困った気持ちね」とつい笑ってしまいます。
 このシーンは、人間の本質をみつめ、映画作りを続けてきた山田洋二監督の真骨頂です。寅さんの愚かさにあきれて、情けないと思いながらも、兄のことを第一に考える妹・さくらだからこそ、本当の気持ちを話す寅さん。神妙な顔の寅さんと、情けなくて泣いていたさくらが最後はニッコリとほほ笑みを交わす。このシーンの終わりがまた良いのです。
 結局、寅さんは「頭」よりも「気持ち」に従って、恋の道をまっしぐらに、突き進みます。寅さんは「人間は理屈じゃ動かない」という人です。でもその「理屈」は大事なものであることも分かっています。その上で「気持ち」を優先させてしまいます。
 分かっているけど、そうはいかないのが人間です。だから映画に触れるぼくたちは、寅さんに共感してしまうのです。それがシリーズ初期の「男はつらいよ」の面白さでもあります。
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 誤字脱字写し間違いあります。

閲覧数865 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2014/03/06 11:32
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