梅雨明けが近いのか、気温も上がり、暑くなってきた。こんな時は標高の高い涼しいところに釣りに行くしかない。で、山梨県の日川に行くことにした。昼前にすずらんペンション(標高1000メートルほど)に着くと気温は23度くらいしかなかった。 入漁証を買い、身支度をして日川に行ってみると、かなり水量が多く、フライでは難しい状況だったので、沢に入ることにした。踏み跡をたどりながら急坂を登る。30分ほど山登りをすると、道は沢に近づいてきた。 この沢は入り方がわかりにくいので釣り人は少ない。が、もちろん、知る人も居て、餌師がときどき釣りをするらしい。 この沢は自然林の中を流れ、まわりにはブナ、シラカバなどの背の高い木が多い。木の葉の緑が綺麗だった。いい気分にひたってばかりは居られない。なぜなら、ここは熊も良く出るところなのだった。僕は時折笛を吹きながら進んでいった。 増水はこの沢にもあって、釣るポイントは限られていた。出てくるのは7-8センチメートルのイワナばかりだったが、あるポイントで白泡のなかからまずまずの魚が出た。これは22センチメートルあり、綺麗な魚体のニッコウイワナだった。その後が続かなかった。増水のせいもあるだろうが、魚が抜かれているような感じだった。 川岸に、6畳敷きほどの苔が生えている平地があったので、そこで休憩し、弁当を食べた。まわりには鹿の糞がたくさん落ちていて、近くの木の幹には熊が前足で引っ掻いた傷とがあった。そこは動物たちの休憩所でもあったようだ。 この日はがんばって1キロメートルほど遡行したが、ゴロゴロと雷が鳴り出し、引き返すことにした。沢から離れ、登山道に着いた頃に雨が降り始めた。僕は木の陰に雨宿りして、15分ほどすると小降りになってきたので下山を開始した。 夕方はペンション近くの本流で暗くなるまで釣った。モンカゲロウのスピナーフォールとフタスジの羽化があったが、食われてはいなかった。ここで数匹のイワナが釣れた。いい型のイワナがフライに出たんだが、ガツンと鉤掛かりして、次の瞬間鉤は外れていた。 ペンションのレストランではオーナーのF屋さんと再開し、僕は焼き肉定食を食べ、釣りの話で盛り上がったものだ。 帰りに 「道路に鹿が出てますから気をつけてください」と言われ、注意しながら下っていくと、トータルで3頭の鹿に遭遇した。1頭はきょとんとした顔で車を見つめていたのが印象に残った。 圏央道が開通し、中央高速から相模原まで短時間で帰れるようになった。そのおかげでまるで別世界のようなすずらんペンションから自宅まで2時間弱で帰ってこられる。驚きである。ま、週末は渋滞になってしまうだろうが・・・