解禁を控えて、リールとシルクラインの手入れをした。毎年恒例の作業だ。
リールは可能な限り分解してクリーニングをして、歯車やバネにはサビ除けにグリースを塗り、リール軸にはミシンオイルを塗る。ハンドルノブにも忘れずにオイルをさす。このように手入れをすると驚くほど軽くスムーズにリールが回るようになるものだ。
4番ライン用の愛用リールはウィンストン・パーフェクトの3インチ1/8で、緑色をしている。もう、10年かそれ以上使い続け、傷だらけだが、まったく問題なく使えている。このリールは簡単にバラバラにできるのでクリーニングが楽である。
3番ライン用はベビーボグダンで、この両軸受けリールを分解する勇気は僕にはない。すべてネジ止めされているので分解は可能だが、ちゃんと元通りにできるかどうか不安だからだ。で、念のためすべてのネジを締め、リールの裏側にあるオイル注入口からオイルを入れるだけにしている。このリールも長く使っているがこれまでトラブルを起こしたことがない。もし、スムーズに回転しなくなったりしたら、その時は分解するしかないが。
フライラインはコートランドのシルクライン(sylk line)で、PVCのラインだが、本物のシルクラインに似せてしなやかに出来ていて、気に入って長く日常的に使っている。国内では取り扱い店が見つからず、アダムズ・アングリングから購入してきたが、最近は国内でもいくつかのプロショップで売っているようだ。
リールに巻いてあるフライラインも点検してラインクリーナーを塗るが、4番ラインの方は傷みが出てきおり、新品に替えた。
そして、僕は解禁日の1日目だけは、ほんもののシルクラインを使うことにしていて、これは僕の儀式みたいなものになっている。ラインはティボー製、ダブルテーパーの4番。ラインに潤滑剤を塗るが、布や紙で塗ってもしみこんでいかない感じがあって、結局指で揉み込みながら塗ることになってしまう。これだけやってもいずれ沈み出すのはしかたがない。だが、乾いていれば、シルクラインは重く、しなやかで、とく飛び、気持ちよくキャストができる。このラインを巻いてあるのはイギリスのバルデックスというやや古いリールだ。解禁の初日だけはフライフィッシングの黎明期の道具立てで、ハルフォードやスキューズに思いを馳せながら、釣りを楽しむことにしている。
さーて、解禁は狩野川で迎えるが、初日にアマゴが釣れる確率は僕の場合50パーセントを切っていると思う。まして今年はお客さんを案内しなきゃいけないし。ま、釣れればもうけものと考えることにしよう。
3個のリールを目の前にして思う。
「うむ、男のおもちゃだナァ」
と。