5月6日、晴れ、鳥取でヤマメ釣り。 さて、ヘラブナ釣りも終わり、今日から本業(?)のフライフィッシングに戻る。川は日野川で、ガイドはカゲロウロッドの石田さん。 朝はゆっくり7時に起きて、ホテルのバイキング朝食を食べ、本物のコーヒーを飲んだ。部屋に戻って、新聞を読みながら排便を楽しむ。この、日常と同じの、ゆったりした雰囲気がいい。 体の疲れもすこしとれた感じもあった。 出雲市駅ではいろんな看板に、”おろち”とか”阿国”などの、出雲にちなんだ言葉があった。列車では窓際にすわり、宍道湖を左に見ながら、安木、米子、伯耆大山(ほうきだいせん)などの懐かしい駅を通る。大山にはボクが中学校・高校のときにスキーや冬山登山で何度か来ていた。生山で降りると石田さんが迎えに来てくれていた。 最初に行ったのは日野川源流だった。渓流に立ち、新緑に囲まれ、清冽な流れの音を聞くと、ああ、やっぱり水は動いていたほうがいい、川はいい、と感じた。はじめはボクの足はよろけていたが、いつしか普通に歩けるようになった。 何投かして、ラインが竿先にからみ、いらついてラインを引っ張ったのが良くなかった。竿先を折ってしまったのだ。竿はカゲロウロッド、メインリバーの7フィート4番であり、北アルプスで51センチメートルのイワナを釣ったお気に入りの竿だった。ボクはショックだったが、石田さんが、「これだけ使っていただけたら、しようがないですよ。あたらしいティップセクションを作りましょう」と言ってくれた。竿のビルダーが目の前に居るのである!申し訳ないような、助かったような、複雑な気分だった。 川は道路沿いに流れていて、釣り人がけっこう入っているようだったが、なんとか1匹を釣った。ここは本当はヤマメの分布域なんだが、ずいぶん前にアマゴが放流され、自然再生産をしているそうで、釣れたのも朱点の綺麗なアマゴだった。また、水がよどんでいる場所で小さなライズがあったので近寄ってみると、ライズしていたのは3センチメートルほどの小魚であり、じっと目をこらすと体側にはパーマークが並んでいた! お昼は蕎麦を食べ、夕方には日野川中流域に移動して、ライズ待ちをした。この時期はオオマダラカゲロウの羽化の終わりごろであり、チャンスはゼロではないという。ポイントには石田さんの仲間も集まってきて、記念写真を撮ったりした。その場所は開けていて、川はゆったりと流れ、とても気持ちのいい所だった。だが、オオマダラはほとんど飛ばず、フタスジばかり飛んで、ライズはなかった。 その後、石田さんの工房に行ってコーヒーを飲んだ。いろいろ話をして、車で生山まで送ってもらい、石田さんに礼を言い、再会を約して、8時37分発の出雲市行きの特急八雲に乗った。 乗客は少なかった。夜行列車に乗って、闇の中を遠くの街灯や民家の明かりが後方に流れていくのをボクはぼんやりと眺めていた。うん、友人がいて、あたたかく迎えてくれるのは、何事にも代えがたい、とても嬉しいことだ。それは、フライでもヘラでも同じなのだ。がんばって出雲・鳥取まで来て、ほんとうによかったなと感じていた。 -おわり-.