第五章 身体への意識 身体の小ささをバネに 初めて野球チームに入ったのは小学三年生の頃だった。近所の同級生たちと地元の少年野球チームに入った。巨人の大フアンだった父親の影響もあった。小学六年生になると、父親が自分のチームの監督となった。父親は、練習では当然のように真っ先に私を叱った。 私には、悩みがあった。身体が小さく中学校に入学した時の身長が147センチ。小学校時代は投手を務めていたのだが、身体の小ささを理由に、中学では内野手に転向させられた。 私は、少しでも身長を高くしたいという思いから毎日ほぼ欠かさず1リットルの牛乳を飲み続け、中学三年間で25センチ身長を伸ばすことができた。このことが私の最初の挑戦だったかもしれない。 プロ野球に入団した時にも、体力差を痛感せざるを得なかった。プロになれば金属バットから木製バットを使用するようになるわけだが、身体の芯ができていないため振り抜けない。とにかくパワーをつけようとそれまで馴染みのなかった筋力トレーニングに必死になって取り組んだ。 パワーだけでなく身体能力も高いほうではなかった。身体のバランスや、どう動いたらボールが捕りやすい、投げやすいなどプロに入る前から考えていた。それが、ピッチャーの頭を高いバウンドで抜けてセンター前に抜けようかというゴロを、左手を精一杯伸ばして捕球し、一回転して投げるプレーだった。それは肩がそんなに強くないために考えたプレーだった。 体重が全部ライト方向に向かってしまっているため、身体の右側にボールを持ってきて投げるのは肩が強くなくてはできない。であれば動いたまま回転せれば自分の身体の動きを送球に利用できるのではないか、と練習で取り組んでいたプレーだった。 私に恵まれた体力や身体能力があれば、必死になって自分がプロで生き残る道を探らなかったかもしれない。基本練習を徹底的 に反復練習することで身体に覚え込ませるしかなかった。 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |