6月29日(月)。この日は晴れて暖かくなった。さて、この日が本当の釣りの1日めだ。 このホテルはやや宿泊料が高いのに比例して朝食の品揃えが良かった。温泉卵があるのが嬉しかった。 十勝での釣りは札内川(さつないがわ)を第一候補にしていたが、ダム放水後の増水が続いていてあまり期待が出来なくなってしまった。昨晩、電話で三島の森村さんと話したら、彼は10日前に音更川(おとふけがわ)の下流部を釣り、とてもいい釣りだったという。ボクも音更川にニジマスが多いのは知っているし、この日は音更に入ることに決めた。 その橋の下に行ってみると、車が1台停まっていて、運転席に人影が見えた。ありゃあ、先客かなと思い、声をかけてみると、「いや、私は今日は釣りはしません。ちょっと資料の整理をしているだけです。ときどき釣りはやるので、このあたりのことは分かりますよ。どちらからですか?」と聞かれ、神奈川からですというと、びっくりして、それじゃあ2~3本は釣っていってもらわなくっちゃあと言う。そして、橋のすぐ上にいいポイントがあって、橋の100メートルほど下もいいですね、と教えてくれた。北海道の人は一人旅の人にはとても親切だということを思い出していた。 そして橋の上のプールではライズはなかったが、ドライフライを投げると流れの中ほどですぐに1匹目が釣れた。久し振りのワイルドレインボウの元気な引きを楽しんだが、いかんせん、大きくはなく、30センチメートル弱というところだった。そのプールの白泡の消えるあたりでも同サイズが出た。釣れるときは簡単に釣れるもんである。その後、橋の下のプールでも似たようなサイズが2匹釣れた。 さらに下流側に歩いて行くと、川幅が狭くなり、深くてやや早い流れになっているところがあった。いかにも大物が居そうだったがドライフライには反応がなかった。ここでは粘ってみることにした。フライサイズを落としたり、半沈みパターンやソフトハックルなどを使ってみたが、釣れなかった。 午後1時ごろになり、コンビニで買っておいたサンドイッチとおにぎりを食べ、もうすこし下流に歩いてみた。ワスレナグサは咲いてないかなと探しながら行くと、わりに簡単に見つかってしまった。どうやら音更にはワスレナグサが多いようだ。その後、先ほど粘って釣った深瀬にもどってみたが、反応無し。この時点で4時ごろになっていた。そろそろどこでイブニングを迎えるかを決めなくちゃいけない。明かではないが、午後になってから濁りが増えてきている感じがあった。音更川は昨年大水が出て土手が壊れ、今年音更町と士幌町の間で河川工事をやっているらしい。その濁りが午後になって下流部まで来たのかもしれないと思った。そうとしたら、ここに居ても無駄なので、上流部に移動することにした。 車で20キロメートルほど上流に行き、橋の上から深いプールを見ていたら、ライズがあった!よし、やるゾと勢い込んで河原に降りていった。だがネ、ライズの主はハヤであった。暗くなるまで釣り、大型のトビケラもたくさん飛んだが、釣れてくるのはハヤばかりだった。車までの釣り人の小径には色とりどりの野花が咲いていた。 この日の夕食は肉を食いたいと思い、ホテルのフロントで聞くと、「煉瓦亭」という有名なステーキ屋さんがあるそうで、そこに行ってみた。9時閉店の寸前で間に合い、十勝牛150グラムのステーキコースを食べた。歴史を感じさせるレストランであり、オジサンのウェイターが居て、値段も高くはなく、ステーキは懐かしい味がした。この日は久しぶりに晴れて暖かく、魚は釣れたので喜ぶべきなんだが、もうちょっと大きいのが釣りたかった。明日は澤田耕治さんがとっておきのところに連れて行ってくれるだろうから、明日に期待だなと思った。