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2014年03月28日(金) 
  俺、定年なんてないもんね。
  そっちどこで手に入れたんだ。
  え、あれは区役所に行くのか?
                    第15作『寅次郎相合い傘』から 
 寅さんはフリーランスです。全国津々浦々、お祭りの縁日に合わせて、旅から旅の暮らしです。お寺や神社の境内や大道で、鮮やかの口上の啖呵売で、さまざまな品物を売るのが生業です。
 寅さんは、サラリーマンのような定収はありません。社会保障もありません。自己責任でありますが、仕事や予定に縛られることなく「風の吹くまま、気の向くまま」に、生きているように見えます。
 第15作『寅次郎相合い傘』で、寅さんは旅の途中、仕事に嫌気が差して失踪した中年のサラリーマン、謙二郎と出会います。演ずるは戦後、大栄映画で活躍してきた船越英二さんです。
 謙二郎は寅さんの自由さに憧れて、二人は旅を共にします。青森から函館に向かう青函連絡船のデッキで、謙二郎を心配する寅さんに「ぼくは死ぬために旅に出たんじゃなくて、自由を求めて旅に出たんですからね」とマイペースです。
 このとき、謙二郎は「あ、寅さん、こんな近くに。いいですねぇ鳥は、自由で」とカモメを見て言います。ここには、サラリーマンとして、一家の主人として、ひたすら懸命に生きてきた男の本音があります。
 函館で寅さんは、二年ぶりにリリーと再会し、三人の旅となります。宿賃がなくなって駅のベンチに泊まったりと、楽しい旅が続きます。札幌の大道り公園での、謙二郎だ失業者のフリをして万年筆を並べていると、寅さんがサクラになるシーンは、いつ観てもおかしいです。こうして謙二郎はつかの間の自由を満喫したのです。
 しばらくして柴又を訪ねた謙二郎は、定年になれば「寅さんのように思いきり僕も旅に出ます」と夢を語り、自営業のおいちゃんは「定年のある方はうらやましい」と本音を言います。
 寅さんの「区役所」という言い回しが何ともおかしいです。終身雇用が当たり前だった時代、観客は「定年」の感覚を持っていない寅さんを笑いましたが、今では寅さんのようなフリーランスが珍しくありません。時代と共に受け止められ方は変わってゆくのです。
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 誤字脱字写し間違いあります。

閲覧数830 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2014/03/28 11:49
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