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ああ、いい女だなあ、この女を俺は大事にしてぇ、そう思うだろ。 それが愛ってもんじゃないか。 第36作『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』から 柴又で印刷工場を営むタコ社長(太宰久雄)は、博の雇い主というだけでなく、おいちゃんとは昔なじみ、寅さんとも若い頃からのけんか仲間です。車一家とは親戚同様ですが、その家庭は、第6作『純情篇』に出てきただけです。とはいえ奥さんは、第1作から第33作『夜霧にむせぶ寅次郎』まで、しばしば登場しています。数多くの松竹映画に出演してきたベテランの水木涼子さんが演じています。 第33作からタコ社長の娘役で、美保純さんがレギュラー入りを果たし、柴又の町内や、とらやの茶の間でフレッシュな笑いが展開されるようになりました。このあけみ、父親譲りのユニークなキャラで、騒動の火種になることしばしばでした。 第36作『柴又より愛をこめて』では、結婚してほどなく、単調な日々に疑問を感じて、家出をしてしまいます。タコ社長はテレビのワイドショーの「尋ね人」コーナーに出演したり、大騒ぎとなりますが、伊豆の下田にいることが判明して、寅さんがあけみを連れ戻しに向かいます。 そこであけみは寅さんに「ねぇ、愛ってなんだろう?」と尋ねます。寅さんは「ほら、いい女がいたとするだろう。男はそれを見て、ああ、いい女だなぁ、この女を俺は大切にしてぇ、そう思うだろ。それが愛ってもんじゃないか」とズバリ。 第16作『葛飾立志篇』での恋愛論と同じ、シンプルだけど真理をついたことばです。それを聞いたあけみは、感激します。「どうして寅さんに、お嫁さん来ないんだろう?」のせりふは、スクリーンを観ているフアンの気持ちでもあります。 あけみの結婚生活への不満と「愛ってなんだろう?」という疑問は、他人からすれば取るに足らないことかもしれませんが、本人にしてみれば大問題です。 「男はつらいよ」は、そうした本質的な問題を、さりげなく織り込んで「幸福とは何か」を考えさせてくれるシリーズなのです。 寅さんは、悩みを抱えたあけみの気持ちに寄り添い、「人を愛すること」について、シンプルかつ明快に答えてくれるのです。 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |