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旅というものはな、 行き先を決めてから出かけるもんじゃねえんだよ。 第46作『男はつらいよ 寅次郎の縁談』から 寅さんは、旅から旅への人生を送っています。財布に五百円札一枚しかないこともあります。大抵は、地方の商人宿と呼ばれた、木賃宿に泊まっているのですが、それとてお財布と相談です。予算が足りないときは、駅のベンチで寝たり、満天の星を眺めながら、草むらでゴロリと寝ているかもしれません。 「風の吹くまま、気の向くまま」の名ぜりふの通り、寅さんはマイペースで旅を続けているように見えます。当たり前ですが、宿だって、汽車だって、ぼくたちのようにインターネットで調べて予約したり、旅行業者にプランを練ってもらったりしているわけではありません。 第46作『寅次郎の縁談』で、大学4年生となった満男(吉岡秀隆)が、就職活動に嫌気が差し、博・さくらとけんかして、突然、家出をしてしまいます。 東京駅のホームに停車していた寝台特急に飛び乗った満男が「この汽車、どこ行きですか?」と聞くと、車掌は「四国の高松行きだけど」とあきれ顔。時代は平成になり、行くあてのない旅など、しにくい時代になっているのです。 結局、満男から瀬戸内海に浮かぶ小さな島・琴島にいると便りがあり、ほっとする一同。その夜、茶の間で寅さんが例によって、想像力たくましく、満男の旅について語ります。息子の行動が理解できない、博やさくらたちに、寅さんが「旅をすること」について語った名言が、本編のことばです。 寅さんは、目的を持って出かけるのは、「旅」ではなく単なる「移動」に過ぎない、と教えてくれているのかもしれません。悩みを抱えて、どうにもならなくて、夜汽車に飛び乗ってしまった。その結果、瀬戸内海にたどり着いた。それが寅さんの考える「旅」なのです。寅さんが、若い頃から身を持って経験してきたことに他なりません。 相談の結果、寅さんが満男を連れ戻しに島へ向かいますが、島でマドンナの葉子(松坂慶子)に出会ってしまいます。そこたら、寅さんの「旅の目的」が大きくズレてしまうのが、またおかしいのです。 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |