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ふくしま便り<農家の重い現実 映画に>中日新聞を写す 「原発事故で死んだ人は一人もいない」と放言した政治家がいた。しかし福島第一原発の事故から間もなく五年。避難先で病に倒れたり、自ら命を絶つなどした震災関連死の認定数は福島県で2千人を超えた。岩手、宮城両県に比べて圧倒的に多いのは、原発事故の影響にちがいない。 悲劇の一つを取りあげたのがドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」。 映画は首都圏に住む16歳から22歳までの若者11人が昨春、バスに乗り込むシーンから始まる。向かったのは福島県須賀川市に江戸時代から続く一軒の農家。八代目当主の樽川和也さん(40)が出迎える。語られるのは、どん底に突き落とされた一家の物語だ。 2011年3月24日早朝。樽川さんはキャベツ畑の端で首をつった父・久志さん=当時(64)=の姿を見つけた。前日、農協から農作物出荷停止の連絡があった。父は息子に「おまえに農業を勧めたのはまちがいだったかもしれない」と寂しそうに話した。遺書はなく、歩数計には約700歩と記録されていた。家を出てから700歩で、どこを歩いたのか。樽川さんは考える。父はなぜ死を選んだのか・・・。 学生から質問が飛んだ。「うちの母は今でも福島産の作物は買いません」 樽川さんはきっぱりと答える。「私でも汚染された畑の作物は食べたくない。ここにあるのは風評被害などではなく現実なんです」 井上淳一監督は脚本家でもあり、原発政策に翻弄(ほんろう)される一家の葛藤を描いた映画「あいときぼうのまち」では脚本を務めた。本作は、初めて挑んだドキュメンタリー。「樽川さんの話に力があり、学生たちの心に浸み込んでいくのがよくわかる。福島の本当の姿を追体験してほしい」と話している。 ◆ ◆ (福島特別支局・坂本充孝) × × 昨日の中日新聞を写しました。
病院でリハビリの休憩とき見た富士山
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