久しぶりにいい本を読んだ。タイトルは「人生という名の手紙」、原題は「サムへの手紙」、講談社2008年6月発行。著者はダニエル・ゴットリーブ、アメリカ人。邦訳の質も高い。 この本の著者はもともと精神分析医で33歳の時に脊髄損傷を受け、四肢麻痺で、上肢はすこしだけ動く状態。サムという孫がいて軽度の自閉症である。そのお爺ちゃんがサム宛に30通の手紙を書いた形式で話が進む。 ものの価値、生き方、問題のとらえ方、その対処のしかた、などについて、特に心のあり方について、貴重なアドバイスをしている。そのアドバイスは彼の経験や実例を示しながら話すのでわかりやすく、説得力がある。この説得力の高さがこの本の特徴であり、これほど納得できる本を僕は読んだことがない。子供との接し方だけではなく、大人自身にとって得るところが大きい。気に入ったいくつかの言葉をあげておこう。 大丈夫-水の中で手足をばたつかせていなくても、浮かぶことはできるんだよ。 悲しみや喜び、愛や苦悩、情熱や心の安らぎは、どれも人生のひとこまであり、人生というこの贈り物の本質そのものだ。 |