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2014年05月12日(月) 
  おい、お前がいないと会社、つぶれちゃうのか?
               第41作『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』から
風の吹くまま、気の向くままに、旅から旅の暮らしをしている寅さん。どこの組織にも属さず、何かに縛られることもありません。
 「男はつらいよ」がスタートした1960年代末は、かげりが見え始めたとはいえ、高度成長時代でした。サラリーマンとして頑張れば、出世ができる、給料も上がり、バラ色の未来が待っている。それが当時のホワイトカラーでした。
 一方、われらが寅さんは、組織とは無縁のアウトローです。「男はつらいよ」シリーズは、高度成長から低成長時代へと、経済をめぐる状況が大きく変容していくなか、庶民の共感を得て、国民的映画と呼ばれるようになっていったのです。
 家族も自己も顧みず、ひたすら会社のため、ニッポン経済のために、働いてきた企業戦士。彼らが、少し息切れしてきたとき、寅さんの自由さに触れることで、癒されることが、シリーズでもしばしばありました。
 第15作『寅次郎相合い傘』でサラリーマンの兵頭謙次郎(船越英二)は初恋の女性に会うために、寅さんと小樽を訪ねます。
 第34作『寅次郎真実一路』の証券マンの富永健吉(米倉斉加年)は、多忙な日々に、疲れ果てて、失踪してしまいます。
 第41作『寅次郎心の旅路』の坂口兵馬(柄本明)も、心身ともに疲れているサラリーマンです。宮城県のローカル線・栗原電鉄(当時)で、鉄道自殺をしようとしたところ失敗。電車に乗り合わせていた寅さんは「俺が面倒見てやる」と馴染みの鳴子温泉の旅館に誘います。
 ところが兵馬は、「無断で会社を休んできておりますので」と帰京しようとします。そこで寅さんは「お前がいないと会社、つぶれちゃうのか?」と、素朴な疑問を投げかけます。会社人間にとっては、自己否定に等しいことばですが、同時にその呪縛から解放してくれることばでもあります。
 さらに「桶(おけ)にね、お湯を汲(く)んで、何杯も何杯も、こうやってかける。わかったな」と寅さんが諭します。これは、かつて満男に「人間は何のために生きているのか」と聞かれて答えたことの実践です。「生きてて良かった」の喜びを、こうしてぼくたちにも教えてくれる寅さん、素晴らしいです。
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 誤字脱字写し間違いあります。

閲覧数938 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2014/05/12 11:55
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2014/05/12 19:10
    身につまされる話ですね。
    今は何であんなに頑張っていただろうと思います。
    自分が頑張らなければと思ったこと。
    自分がいなくても会社は困らないですね。
    そしてずいぶんと悩みました。
    今思えばちっぽけな話です。

    それにしても名脇役ばかりでしたね。
    この映画は知りませんでしたが、見てみたいものです。
    次項有
  • 2014/05/12 21:23
    みつちゃんさん
      ありがとうございます。

    会社勤めの経験のない私ですが仕事のため会社のため精一杯働くこの気持ちはよく分かります。当時、企業戦士などという意識はなくても懸命に働くのは当たり前に普通のことだったと思いますね。いい時代でした。

    こういう喜劇映画であってもこんな解説を読んだ後、当時を振り返りながら再び観れば冷めたなかにも新しい何かがあるでしょうねテレビでやらないかなぁ・・
    次項有
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