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2014年01月17日(金) 
東京新聞 2012年6月26日付 朝刊
【「スズキ」さんにお礼を】
 精神に障害があり、心臓に病を抱えた兄(60)が約一週間前、土地勘のない浜松市で迷ったときに助けてくれた女性に会って、お礼を言いたい―。横浜市の社会福祉法人施設長の矢野清さん(58)=横浜市中区=が、この女性を捜している。女性は「スズキ・アリサ」と名乗った以外に手がかりはなく、清さんは「スズキさんと出会えなかったら、兄は命の危険もあった」と振り返る。 (荒井六貴)

清さんによると、兄の宇一郎さんは17日午後、横浜市中区の自宅から、横浜市旭区の障害者施設に向かうため、最寄りの駅から市営地下鉄に乗った。
 宇一郎さんは、知らない人と話すのが苦手で、予期しないことが起こるとパニックになる恐れがあった。慣れれば、一人で電車やバスに乗り目的地に行くことはできたが、兄弟は先月、引っ越したばかりで、この日、清さんは宇一郎さんと地下鉄に乗り、乗り換える横浜駅まで送った。だが、午後8時前に施設から「まだ来ていない」と連絡を受け、清さんが宇一郎さんの携帯電話にかけると「今、どこにいるか分からへん」という返事だった。清さんは近くの人や店の人に電話を代わるよう言っても、宇一郎さんは「できへん」と言うばかり。
 10時ごろまで連絡を取り続け、周囲の様子を聞くと、宇一郎さんは「浜松高校」「浜松グランドホテル」「浜松駅」という場所を口にした。清さんは浜松市内にいると思い、静岡県警に捜索を依頼した。
 命綱の携帯電話の声が途切れがちになり、充電も心配に。宇一郎さんは4月、心不全の手術を受け、心臓にペースメーカーを入れたばかり。体力も心配だった。
 11時すぎ、宇一郎さんの携帯から、若い女性の声で「浜松駅のバスターミナルにいます」と連絡があった。清さんは、女性に頼み、宇一郎さんを浜松駅に連れて行ってもらい、警察に保護してもらった。
 清さんは電話で女性に感謝を伝えたが、女性は「スズキ・アリサ」名乗るだけで、その場を去った。
 清さんは翌朝、警察署で一泊した宇一郎さんを迎えに行き、横浜に帰ることができた。清さん「スズキさんのおかげで大事に至らなかった。遅い時間に、よく対応してもらった。直接、会ってお礼をしたい」と話している。

【助けられてよかった】
 横浜市から迷って浜松市に行ってしまった兄を助けてくれた「スズキアリサ」さんを捜したい―。6月26日付の本紙朝刊に載った記事が、同じ中日新聞社が発行している中日新聞にも載り、鈴木亜里砂さん(20)=浜松市中区富塚町=が同紙に名乗り出た。当時を振り返り「助けられてよかった」と笑顔を見せた。    (木村春毅)

精神障害があり、対話の苦手な横浜市中区の矢野宇一郎さん(60)は6月17日午後、同市旭区の障害者施設に行くため、自宅を出た。社会福祉法人施設長で、同居する弟の清さん(58)に障害者施設から「夜になっても(宇一郎さんが)到着しない」と連絡があった。清さんは宇一郎さんの携帯電話にかけたが「今、どこにいるか分からへん」との返事。宇一郎さんとの会話から浜松にいるかもしれないと分かり、心臓の持病も心配なため、警察に捜索願いを出した。
 鈴木さんはその日、所用があった東京からの帰りで、午後11時ごろ、JR浜松駅のバスターミナルにいた。近くに座っていた宇一郎さんから「○○ありますか」と話しかけられたが、うまく聞き取れずに何度も聞き返しいていると、携帯電話を渡された。電話口の清さんから事情を聴いて、駅員を通じて警察に保護してもらった。「命の恩人」と感謝する清さんに名前を聞かれ、「スズキアリサです」とだけ伝えて帰宅していた。
 鈴木さんは名古屋学院大(名古屋市)の三年生で、実家から通っている。しかし遅い時間にバスを利用することはほとんどなく、「本当に偶然が重なったんですね」としみじみ。宇一郎さんが横浜から来たと知ったときは「遠い浜松まで来て、(清さんが)心配だろうと思った」と振り返り、「(二人が)本当に困っていたから、助けられてよかった」と胸をなで下ろした。
 清さんは鈴木さんが見つかったことに大喜びで「ぜひ直接お会いしてお礼を言いたい。うちの施設でつくっているお菓子を持って行きたい」と話している。

〈読者投稿〉
 新聞は今も昔の瓦版なんだ! そんな確信を得る記事に出会えた。無縁社会になりつつあると危惧する出来事が続発する日本だが、人のやさしさ、地域を超えた世間の温かさを実感させられた。
 「尋ね人」の解決を新聞に託した横浜の人、障害者にやさしく対応し機転を利かせた女子大生。リレーのバトン役となったのは新聞だった。
 天下国家も大事だが、人の生き死にも同列だ。言いっぱなしのメディアとは一線を画する、社会に役立つ記事のリレーに、瓦版の時代から変わらない、新聞の存在感をみた。
    川崎宏三さん 55歳 愛知県 (川崎さんは、応募時は東京都在住でした。)
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閲覧数499 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2014/01/17 11:56
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