今日も中日新聞のコラムを写しました。
頂上を目指して山を登っていたが、不測の出来事に、引き返さなければならないとする。とば口なら、さほど苦にならないだろう。さっさと引き返し、また山に挑めばよい
▼これが、もう少しで頂上という地点までたどり着きながら、麓に戻らなければならないとしたらどうだろう。もう一度、麓から。山を見上げ、「もういいや」と腐っても不思議ではなかろう
▼一度、戻った麓から再び、歯を食いしばり、山頂を目指した人である。大相撲の横綱、照ノ富士関が引退を表明した。覚悟と闘志の横綱の花道に大きな拍手がわいているだろう
▼初優勝、大関昇進までは順調だった。「大関って、こんなに簡単になれちゃうもんなの」と思ったそうだが、直後の膝のケガと糖尿病によって番付は序二段まで転落した。しぼんだ体と失われた力。一時はお母さんさえ、引退を勧めたという。そこから再び、山を登り始めた。ここで辞めれば後悔する、やるなら徹底的に鍛え直す-と覚悟を決めたという
▼ハードなトレーニングと生活習慣の改善に取り組み、番付を徐々に上げていく姿に心を動かされ、励まされたファンも多いはずだ
▼優勝は10回。優勝回数では白鵬や千代の富士には及ばないけれど、それに匹敵するような忘れられぬ再起の物語を残してくれた。苦しみながらも険しい山を登り切った人はきっと、よい指導者になるだろう。
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今日も中日新聞のコラムを写しました。
こういう、ちょっとじ-んとする文が好きなんです!