中日新聞 2012年7月24日付 朝刊 【孫の勇気で祖父元気】 石川県七尾市大和町の山王小学校4年生、山元さくらさん(10)が、自宅で突然倒れた祖父の大岡強さん(69)に、子ども消防クラブで学んだ心臓マッサージをした。救急隊員に引き継がれた大岡さんは入院を経て、すっかり元気に。「孫に助けてもらった」と喜んでいる。 大岡さんが倒れたのは3月中旬の夕方。こたつに入り、テレビを見ながら酒を飲んでいた。意識を失い、心肺停止状態になったという。さくらさんの母育代さん(42)や祖母の大岡和枝さん(71)が119番した。 容体を伝えると電話で「救急車が到着するまで心臓マッサージをしてください」と指示された。だが、二人はどうすればいいか分からなかった。すると、さくらさんが「私ができる」と言ってマッサージを始めた。 昨夏に地元の山王子ども消防クラブの合宿で実習した心肺蘇生法を覚えていた。大岡さんの横で、両手を心臓の上に置き、「とんとんというリズムで押した」。実習ではアンパンマンの歌のリズムで押すように教わったが、そのことを思い出す余裕はなかった。 育代さんによると、おろおろする家族の中で、さくらさんが一番落ち着いていた。時間がどれくらいかかったかだれも思い出せないが、救急隊が駆けつけるまでに大岡さんの心臓は動きだした。 大岡さんの意識はしばらく戻らず、四月初旬まで入院したが、今は普段通り の生活を送る。大岡さんは「倒れてから酒はやめている。これからの人生を孫と楽しみたい」とはにかむ。 パイロットになるのが夢のさくらさん。「長生きして、私が操縦する飛行機に乗ってね」と大岡さんに笑顔を見せた。 七尾鹿島広域圏事務組合消防本部はさくらさんのマッサージで蘇生したと断定はできないとするが「子どもが心肺蘇生をしたケースは聞いたことがない」。総務省消防庁救急企画室の菅原康一総務事務官は「小学生でも頑張れば蘇生できないことはない。勇気を出して手当した今回のケースは参考になる」と評価している。 (七尾支局・福本英司) 〈読者投稿〉 最近、核家族の増加、新型家屋の間取りの在り方など様々な事情も影響してか、家庭内での老人と子供の触れ合う機会がめっきり減ったように感じます。 そんなとき「孫の勇気で祖父元気」の記事。そこにはおじいちゃんと、どこか面影の似た小学4年生のお孫さんの写真が掲載されていました。お孫さんの前にはおじいちゃんの顔を描いたと思われるクレパスの絵が。何とも微笑ましい光景です。さらにそのお孫さんが、突然心肺停止状態なったおじいちゃんに救急車が到着するまで子供消防クラブで学んだ心臓マッサージを施していたとのこと。感動しました。家族がおろおろするなか、落ち着いて学習したことをしっかり実践できたお孫さんに大拍手です。二度幸せな気持ちになりました。 そして、お孫さんの将来の夢はパイロットになることとか。ぜひ「孫が祖父を乗せて初フライト」という見出しでもう一度ハッピーニュースに取り上げられると良いですね。 七森和代さん 61歳 岐阜県 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |